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もはや多くのサイトでやり尽くしていると思われるDream Theaterのアルバムレビューのページです。
何回か聴いていくうちに印象が変わるアルバムもあるので、必ずしもココに書いたものが絶対的な評価ではありません。
評価が変わる度に更新するつもりではあります。



1st "When Dream And Day Unite" [1989年発表]

ジャケットがアレげな記念すべきメジャーデビューアルバム。
このアルバムのみCharlie Dominiciがボーカルをとっている。これは自分自身の好みの問題なのだが、
Charlieのジャーマンメタルっぽい、いわゆるハイトーン系の声があまり好きになれない。

その為、このアルバムは一番回数を聴いてないアルバムである。もしも次作以降ボーカルが変わっていなかったら、
Dream Theater自体聴くのを止めていると断言できる。何が言いたいのかというと、それぐらいCharlie Dominiciの声が嫌いということだ。
しかし、世の中にはCharlie Dominici最強論を唱える人もいるので、その辺は人それぞれ。

ボーカルについてはこのぐらいにして、アルバム評を。
プロデュース&エンジニアは意外にもあのTerry Dateがやっている。音だけを聴くとおおよそTerry Dateっぽくないのだが。
アルバムを聴く限り余計な口出しをせず、バンドの思うままにやらせていることが伺える。

メンバー全員当時から技術、表現力の高さをみせつけられるアルバムで、曲の独自性という意味では全アルバム中最も
高いと言えるのではないだろうか?インストの定番The Ytse Jamは今でもたまにライブで演奏され、2004年来日武道館公演
で演奏されたOnly A Matter Of Timeはこのアルバムで聴ける。

余談だが、最近のインタビューでベーシストのJohn Myungが「昔はエフェクターでいかに目立つ音を出すかにこだわっていた」
との言葉通り、今では考えられないやたらと歪んだベースが全編に渡って聴けるのもこのアルバムだ。
曲自体は好きなので、James Labrieで再レコーディングしてほしいなあ・・・と思っていたら、こんなのがあった。1st好きは必聴。
[2005.6.3更新]



2nd "Images & Words" [1992年発表]

Dream Theaterの出世作となったセカンドアルバム。世間的には名盤と言われている。
このアルバムからJames Labrieがボーカルを務める。プロデューサーはDavid Praterという人。

この人の意向なのかどうかは知らないが、80年代を意識させる音作りになっている。具体的にはドラムが打ち込みっぽい音で、
全体的にリバーブを深く掛けた音像。曲、演奏自体はさすがに名盤と言われるだけあって、否の打ち所の無い素晴らしい出来なのだが、
この音の感じがどうしても受け入れられず、ついつい聴くのをためらってしまう。

収録曲のPull Me Under, Metropolis Part 1等はファンの間で特に人気のある曲で、ライブで始まると嫌が応でも盛り上がる名曲だ。
Jamesの音域の広さをまざまざと見せ付けられるTake The Timeも必聴だし、変拍子の嵐のUnder A Glass Moonなど聴き所満載だ。
Another Day, Wait For Sleepは共に珠玉のバラードといっていい曲だろう。ここまで書いて気付いたが、Mイトウ的な文ですね自分。てへ。

ベースのJohn Myungはこのアルバムから更なる表現力を求め6弦ベースを使っている。この頃は確かトバイアスだったような。
それにしても、1st同様Kevin Mooreのボイシングが冴えている。歴代のキーボーディストを比べても、ボイシングのセンスは彼が
一番といっていいだろう。立体感、奥行きを感じさせ、且つボーカルを邪魔せずに活かす、そんなプレイだ。

このアルバムも1st同様再レコーディングしてほしいと思っている。もちろん、エンジニアはKevin Shirlyで。
[2005.6.3更新]



3rd "Awake" [1994年発表]

1994年発表の3rd。日本盤には初回限定としてボーナスCDが付いた。
ちなみに管理人は既に1枚持っていたのだが、このボーナスCD付きのAwakeがどうしても欲しかったので、
中古屋で探しまくった挙句に入手した。つまりAwakeが2枚家にあるということで。まあどうでもいいですね。

2ndとは打って変わって全体的に低音弦を多用したリフが多く、重さに力点を置いたアルバムになっている。
JMはタングの6弦を使用し、John Petrucciはイバニーズの7弦を使い始めた。また、Kevin Mooreはキーボードに歪みをかけ、
ハモンドのような音を出すなど実験性溢れるアルバムだ。ややベースが聴きとりにくいものの、音質が良いのもこのアルバムの特徴。

自分自身DTとの出会いはこのアルバムで、且つ1番好きなアルバムでもある。恐らく最も繰り返して聴いているものと思われる。

前述した通り、重さにこだわっているあまりにメロディを軽視しているのか?というとそんなことはない。うまい具合に共存しているのだ。
Caught In A Web, Innocence Faded, The Silent Man, Lifting Shadows Off A Dreamなどで極上なメロディーを聴くことが出来るだろう。
特にCaught In A Webの単調なリフの繰り返しに乗っかる、あの縫っていくようなメロディーラインは秀逸としか言いようが無い。
惜しむらくはボーカルの声の調子が良くない時にレコーディングされたことだ。長きに渡るI&Wツアーで喉を痛めてしまったとのことらしい。

全体的に曲はよく練られていて、無駄な展開を極力避けているように感じる。しかしVoicesのみ若干助長と感じてしまうが。
また、このバンドの特徴である変拍子、リズムチェンジが効果的に使われている曲が多い。
Scarrdの後半キーボードソロ手前のE弦開放のリフのリズムチェンジ部分は何度聴いても鳥肌がたってしまう。

と、好きな曲だらけのこのアルバムだが最後の底無しに暗い曲、Space Dye Vestだけはどうしても好きになれない。
Scarrdまで聴いたらいつも止めてしまう。個人的に暗めの曲が嫌いということはないのだが、この曲だけは何故かダメだ。

また、Majesty時代からのキーボーディスト、Kevin Mooreはこのアルバムを最後にDTから脱退する。
メンバーはショックを受け相当引き止めたようだが、彼の意思を変える事は遂に叶わなかったようだ。
[2005.6.4更新]



EP "A Change Of Seasons" [1995年発表]

23分という長さの表題曲とロンドンのロニー・スコットジャズクラブで行われたカバーライブを収めたアルバム。
元々この表題曲はImages & Wordsに収録される予定だったが、CDの収録時間の都合によりカットされたそうだ。
このアルバムからAwakeツアーに帯同していたDerek SherinianがKevin Mooreの後任として加入、レコーディングをしている。

長年温められた曲だけあって完成度が高い。23分という長さを感じさせない構成と練りに練ったアレンジは文句の付け所が無い。
構成自体はKevin在籍時に録られたデモとおおよそ同じなのだが、比較して聴くと実に興味深いので一聴の価値があると思う。
管理人はInstrumentalIIというブートレッグで聴いたが、こちらの方が入手しやすい上に音質もいいと思うのでこっちをオススメする。

モダンヘヴィネスの影響が如実に表れたA Crimson Sunrise, The Inevitable Summerなどは今までのDTとは一線を画していると思う。
影響を受けた事を包み隠さず、取り入れ、消化することが出来るのはDTの懐の深さの表れだろう。

アルバム後半のライブ音源も元のオリジナルと比べると実に面白い。DTなりの解釈で演奏しているのが良くわかる。
また、DTはライブバンドである、ということを見せ付けられることだろう。
Jamesの意図がよくわからない百烈張り手が見れるのもこのアルバムだけ。ラブ好きは要チェック。
[2005.6.4更新]



4th "Falling Into Infinity" [1997年発表]

日本盤にはAwake同様初回限定でボーナスCDが付いた。プロデューサー兼エンジニアにKevin Shirlyを迎えて製作される。
また、JMはこのアルバムからヤマハの自身のモデルを使っている。その影響か前までは引っ込みがちだったサウンドが前面に出るようになった。

CDを聴いた人がメンバーの顔が思い浮かべてしまうようなミックスにした、との言葉通り絶妙なバランスでミックスされたアルバムだ。
聴けばわかるが、全てのパートが余すところ無く耳に入ってくるのだ。これは見事としか言いようが無い。
音質、バランスの良さに限って言えばこのアルバムが一番だと思っている。

このアルバムは賛否両論があって、好きな人はとことん好きだし、嫌いな人はまるで受け付けないようだ。
自分の場合は前者だ。嫌いな人に言わせると、曲の方向性がバラバラで散漫だから、だそうだ。
確かにそうなのだが、どの曲にもDTらしさが入っているので、自分の場合は散漫という風には感じない。

新たな試みがあるのもこのアルバムの特徴だ。New MillenniumではJMがベースの代わりにスティックを使い、
Lines In The SandではDTとしてはめずらしく、ゲストミュージシャンを迎えてレコーディングされた。
Just Let Me BreatheではJamesが初のラップを披露している。ライブだとその部分をやるのに拡声器を使っていたりする。

JPのカッティングが聴けるNew Millennium, Lines In The Sand。圧倒的なユニゾンを堪能できるHell's Kitchen。
Jamesの良さを満遍なく引き出しているTake Away My Pain。今までのDTとは一味違ったプレイが満載だ。

製作準備期間が長かったこともあり、この時期に作られたもののアルバムに入らなかった曲も多い。
Raise The Knife, The Way It Used To Be, Cover My Eyesなど。Hollow Yearsのシングル盤や5 Years In A Live Timeなどで聴ける。
Hollow Yearsのシングル盤にはYou Not Meのデモバージョンが入っていて、比較しながら聴くのも面白い。

最後に、作った本人達はこのアルバムがプロデューサーによってコントロールされたことが気に入ってないらしい。
具体例を挙げると、Burning My SoulとHell's Kitchenは元々一つの曲だったのだが、二つに分けるよう指示されたこと。
これはアルバム全体のバランスと長い曲のままだとマニアックな層にしか受けないということを考えたプロデューサーなりの配慮
であったと考えられる。本当に嫌だったのか、ライブでこの曲をやる時は大体元のバージョンでやっている。
Lines In The Sandについても同じだ。しかし自分はアルバムバージョンの方が好きなので、Kevin Shirlyはいい判断をしたと思っている。
ちなみにLines In The Sandの元バージョンは大して上手くも無いコーラスが散りばめられていて、とても聴けたものではない。

このアルバム以後外部プロデューサーを立てず、自らの手でプロデュースしていくことになる。
個人的にはまたKevin Shirlyにプロデュースしてほしいと思うが、それはかなわぬ夢なのだろう。
[2005.6.5更新]



5th "Metropolis Pt.2: Scenes From A Memory" [1999年発表]

ドリームシアター初であり、唯一のコンセプトアルバム。アルバムを全て通して1つの曲であり、1つの物語を追ったものとなっている。
元々Metropolis Pt.2は25分程度の曲だったそうだ。それがだんだんとアイディアが足されていくうちに膨らんでいき、こういう形になった。
また、このアルバムからMike&JPがプロデュースを務める。実質セルフプロデュースといっていいだろう。

このアルバムを製作するにあたり、キーボードのDerek Sherinianが解雇される。理由はバンド側がこのアルバムで表現したい事が
彼では実現不可能と判断した為だ。つまりは実力不足ということだ。代わりに入ったのがMike Portnoyのプロジェクト、
Liquid Tension Experimentに参加していたJordan Rudess。聴けばわかるが、このアルバムにおけるキーボードの重要度はかなり高い。
バンド側の判断を肯定するつもりではないが、世界広しといえどもJPと完全にユニゾンを決められるのはJordanぐらいだろう。
余談だが、JM曰く"完璧"だそうだ。(ベースクリニックで来日した時にJordanのプレイヤーとしての印象を聞かれて)

Derekの名誉の為に書くと、決して一人のミュージシャンとしてJordanより劣っているということではない。
DT脱退後に始める、PlanetXの仕事ぶりでそれは良くわかると思う。

さて至る所で評価の高いこのアルバムだが、管理人は発売当初数回程度聴いただけでその後はあまり聴かなくなってしまった。
当時はグッと来ていなかったのだ。それでもThe Dance Of Eternityだけは繰り返し聴いていた記憶はあるが。
当然のことながらこの時のツアーも観に行かなかった。今では非常に後悔している。その分DVDを見まくったが。

このアルバムの聴き所を書こうと思ったが、いっぱいありすぎてどうにも書くのがおっくうになった。というわけで一つだけ書くことにする。
11曲目のThe Spirit Carries On。アメリカで世界貿易センタービルがテロの標的とされた時に何度となく流された曲だ。
死についての歌だが、非常にポジティヴなエネルギーに満ちている。一節を紹介する。

If I die tomorrow
I'd be allright
Because I believe
That after we're gone
The spirit carries on

(もし明日死のうが構わない。肉体が滅びようとも私という魂が在り続けることを私は信じている。)

元々の25分バージョンのMetropolis Pt.2を1度でいいから聴いてみたい。ブートレッグで出ないかなあ。
[2005.6.6更新]







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